NO.0090 2010.09.01発行

《 ワークショップから・・・ 》

ここの所づ〜っと挨拶の折には「お暑うございます」と言うのが習慣のようになってしまいましたが、9月になっても同じ事を言わなくてはいけないのかなと・・・恐れさえ感じるこの頃です。

それでもかなり満足の行く仕事が仕上がったので胸を張ってここに載せさせて頂きます。

これはブローチなのですが、ホワイト、イエロー、ピンクゴールドの三種類の地金を使用しています。

実際にはそれぞれのパーツをつなぐ丸カンにはプラチナを使用していてかなりな数を必要としたので、プラチナも使用したことをうたっても良いのですが刻印には単にK18だけにしました。

丸カンと丸カンとが擦れ合う為にホワイトゴールドではメッキがはがれてしまい変色する恐れがあったためにプラチナを使いました。

全てプラチナにしてしまうとかなり重いものになってしまうので全体的にはホワイトゴールドにしたわけです。

いつも、どんなものを造るときにも出来るだけロー付け箇所を減らすように考え、可能な限りシンプルになるよう考えるのですが、今回のこのブローチに関してはむしろロー付け箇所の多さを許容する事で繊細さを出す事にしました。

その為に非常に沢山の工程を踏まなくてはならず、予想以上に時間がかかってしまいました。

最後にはイエローとピンクゴールドにマスキングを施してホワイトゴールドだけにロジュームメッキをつける時にはさすがにすごい手数だなと我ながら感心してしまいました。

それでも、その甲斐があって仕上がりはスッキリ軽やかで、優しい動きをするブローチに仕上がったと自負しています。

こういった仕事の後にいつも感じることなのですが手を入れれば入れるだけ良くなると言うものではなく、スルスルと思い通りに仕事が進むことが大切で、でもそれは努力して得られるものだけではなく何か表現のしようの無いものに突き動かされて出来る感覚があります。

その感覚を覚えるときは格別の爽快感のようなものを味わわせてもらえるものです。

このピアスも、それこそ大きさこそかなり大きめですがシンプルそのものと言ったものです。

こういう物こそサラリと仕上げられなければ価値の無いものになってしまいます。

恐ろしく暑い気候の割には、何だか良い仕事が出来た月でした。

それにしても早く涼しくならないかな・・・