NO.0013 2004.03.03発行

《 ワークショップから・・・ 》

庄田武之です。

三月になって、やはり春めいてきましたが社会情勢からか、浮き立つ様な気分にはなかなか成れません。
ですが、この場だけでも雑多な事は忘れて、前回予告させていただいた天然の宝石に付いて少々考えてみたいと思います。


勿論、人工的に再結晶させた物や、単に幾つかの物質を練り合わせた様な石と天然の石との違いを考えるわけではなく、それらに付いてはまた別の機会に譲るとして、実際に掘り出されたり見つけられている天然の石に付いて考えてみようとしています。

例えばダイヤモンドの色に関して考えてみると、既に放射線処理によって良い色(白色)に近づけたり、ブルー、ピンクに発色させたりする事は可能でしたが、現在では安全な電気的な処理によって色をコントロールする事が可能になってきています。

もっとも、非常に限られた種類の原石に付いてのみ可能で、なおかつ経費が高くつくため天然の同等の石と値段は変わることが無く、市場を脅かす事は無いようです。


その他の色石、又は真珠に付いても現在ではその殆んどの物が人工的に手を加えられています。我々が手にする石も当然そうであると考えて間違いありません。
では、これらは一体何処まで天然と考えてよいのでしょうか。
この仕事をしていると、やはり常にその問題と面と向かう事になります。

まず、安全である事〈放射線が残るような事が無い〉、そしてその良さが半永久的である事、市場的に問題が無い事、などを基準に考えて扱う必要があります。

・・・と、此処までは単純に事務的に事を運べばよいのですが、よくよく考えてみると世の中にはやはりいろいろな色のダイヤモンドがあり、薄かったり濃すぎたり、混ざり合った色のあまり良くないルビーやサファイヤ等の色石が多くあるどころか良い物は、極わずかしか手に入らないわけです。
結局加工できる事は非常に限界のあるものだという事がわかります。

今ある知識を総動員して、そして最終的には自分の目と感性に頼って響いてくる石を探し当てる事だと考えています。
どれほどの技術が進もうと、自然が、気の遠くなる様な時をかけて生み出した物とは歴然とした違いがあるものでしょう。

この様に考えてみると、やはり宝石というものは、驚異的に美しい物だなと感心させられます。

次回は、そんな宝石の写真を載せることが出来るといいなと思っております。